妖夢ちゃんごはん日記 2015年11月まとめです

2015/11/01
二年目252


「妖夢、妖夢や」
「はいここに」
「お肉が食べたいわね?」
「幽々子様、私は毎日お肉が食べとうございます」
「そうよね」


「……二人共、そんな茶番をしないでもお肉にしますから」


 幽々子様との作戦が聞きました。
 Y子さんもたじたじです。

 本日のメニュー
 ・子羊の炭火焼き
 ・焼きとうもろこし
 ・焼きブロッコリー
 ・焼きにんじん

「ゆ、幽々子様」
「え、ええ。妖夢。わかさぎを釣ろうと餌を投げ込んだらタイが釣れた気分よ」
「素晴らしい例えです幽々子様」
「大げさねえ」

 Y子さんは気にしないふりをしていましたが
 結構自信満々そうでした。
 そして食べてみると子羊はとてもジューシーで臭みもなく美味しかったのです。
 
「大人より美味しいわよね」
「そうなのですか?」
「ええ、狙うなら子供よ妖夢」
「はい、子供のほうが美味しいので子供を狙います」

「……それ外で話さないでね」

 Y子さんは終始あきれていました。
 そして今日も私と幽々子様のコンビネーションは決まりました。
 明日も幽々子様とのコンビネーションで敵をずばずば倒しに行きます!





2015/11/02
二年目253


 幽々子様とY子さんがいつも通り髪を切りに行ったので
 カセさんとお昼ごはんを作ることになりました。

「カセさん、冷蔵庫がたまごだらけです」
「これはY子さんのメッセージです」
「なるほど!」
 
 ということでたまご料理です。

 本日のメニュー
 ・オムライス
 ・ゆでたまごサラダ

「ふわふわですカセさん」
「上手くいったわね。久しぶりだから」

 カセさんはフライパンでうまいことふわっとたまごに包むのをやっていました。
 私も真似しましたがだめでした。
 なのでケチャップに「きれい」と書きました。
 これできれいになりました。

「妖夢ちゃん、それなんて書いたの?」
「きれいって書きました。オムライス汚くなってしまったので」
「なんか落語みたいな感じがする」

 ちょっと良くわかりませんでしたが
 褒められた気がするのでおっけーです。
 オムライスはカンタンで美味しい最高メニューです。
 こんどY子さんがくるっとやる所を見て勉強しましょう。





2015/11/03
二年目254


「ぐふふ……わあ!」

 美鈴さんから借りた漫画を読んでいると
 うでにクモが落ちてきました。
 思わず剣を手に取りかけましたが害がないので逃がしてあげました。
 それにしても白玉楼に出るなんて命知らずなクモです。

 本日のおやつ
 ・Y子さん手作りモンブラン

「じゃあ妖夢は地獄に落ちても大丈夫ね」
「そ、そうですか。でも天国にいけるように頑張ります」

 どうやらクモを助けると地獄に落ちても
 一度だけチャンスがもらえるようです。
 でも天国に行きたいです。

「幽々子様、天国ってどういう所なんでしょう」
「そりゃもうここでしょうに」
「え?」
「Y子さんの美味しいモンブランが食べられるのよ」
「そうですね!」

「……なにここ天国?」

 幽々子様に褒められて今にもY子さんが天国に召していきそうでした。
 危なかったです。
 Y子さんが居なくなったら白玉楼は地獄になります。
 恐ろしいです。



2015/11/04
二年目255

 冬の気候でした。
 修行場に行くときに手をこすらないといけません。
 剣を持つ手がかじかんではいけませんので
 手袋をしないといけません。
 
 本日のメニュー
 ・チキンカレー弁当
 ・プチトマト

「さすがはY子さんですまぐまぐ」

 まほう瓶にはいったカレー弁当です。
 少しスパイシーで寒い体にホットな食べ物です。

「まぐまぐ……」

 修行場でひとりごはん。
 毎日の日課ですがこの時期になるとなぜか物哀しいです。
 
「……まぐまぐ」

 秋は人をセンチュリーにさせます。
 


「それってセンチメンタルって言いたいの?」

 Y子さんにつっこまれました。
 そうです、それです。
 秋はそれです。
 




2015/11/05
二年目256


 久しぶりに刀を研ぎました。
 私はこの時ばかりは真剣です。
 そうです、だじゃれです。

 本日のメニュー
 ・まいたけ炊き込みご飯
 ・からあげ
 ・シーザーサラダ
 ・白菜漬け

「最高な匂いがすると思ったら炊き込みご飯ですか!」
「まあねー」

 炊き込みご飯は最高です。
 ごはんがおかずでごはんの役割をはたすのでついつい食べ過ぎちゃいます。

「あら、結局まいたけにしたのねY子さん」
「ええ、妖夢ちゃんが無視したんで私の好みにしちゃいました」
「どういうことです?」

 全く心あたりがありませんでした。

「さっき部屋に行ってまいたけかしめじか聞いたんだけど」
「え、全然気づかなかったです」
「刀さわってたから」
「あ、すみません」
「いいのいいの。それが妖夢ちゃんの仕事だもんね」

 やはり私は真剣でした。
 部屋にY子さんが来たのは全く気づかなかったです。

「でも、敵が来ても気づかないんじゃないの」
「……そんなことないですよ」

 幽々子様の言葉に、私は小さな声でしか反論できませんでした。
 真剣になりすぎるのもいけません。
 ……集中しつつ、まわりに気を向けたいと思います。



2015/11/06
二年目257


 本日のおやつ
 ・ソフトクリーム(チョコとミルク)

「寒い時期に食べる冷たいものは美味しいですね」
「最高よね」

 はんてんにくるまりながらソフトクリームを食べました。
 この世の幸せです。あの世ですが。

「妖夢、妖忌はどうしてるのかしらね」
「どうしたんですか急に」

 幽々子様が急にくすくす話しかけてきました。
 
「お祖父様ですか、何してるんですかね」
「あらそっけない。きっと妖忌も一緒におやつを食べたがっているわよ」
「そうですかねえ」
「幽々子様」

 カセさんが口を開きました。

「なあにカセさん」
「祖父とクリームって言いたいんですね」

 幽々子様が機嫌をなおしたのはついさっきです。
 カセさんはおおいに反省していました。
 面倒くさい主人です。




2015/11/07
二年目258


 修行場に来た魔理沙に、人里に行った時偶然であった鈴仙とも
 弾幕ごっこに敗けました。
 私はむしゃくしゃしています。

 本日の秘密のおやつ
 ・サイダー
 ・鈴カステラ

 むしゃくしゃしたので鈴カステラをむしゃむしゃしてやりました。
 私は悪い女です。

「うひひ、サイダーはしゅわしゅわです」

 意味のない事を言ってはしゃぎました。
 楽しくなってくるのです。
 
「むしゃくしゃしたときはむしゃむしゃとしゅわしゅわです」

 そんな一日でした。
 明日にきびが出なきゃ良いんですが。


2015/11/08
二年目259


 横から何かが出てきたと思ったら鈴仙でした。
 突然だったので切りました。

 本日のおやつ
 ・あんころ餅
 ・抹茶

「鈴仙が突然来るから」
「み、耳が……」

 耳を切りました。
 真っ二つじゃありません。
 ちょっと切っただけです。
 なので悪く無いです。
 あんころ餅をおごったので許されるべきです。

「昨日私がぼこぼこにしたことまだ根に持ってんの?」*1
「あ?」

 もう一回切っておきました。
 鈴仙はばかなうさぎです。
 あとなんとなくもう一回切っておきました。
 なので三回切りました。
 鈴仙はどうでもいいですがあんころ餅はこしあんが最高です。
 またあのお茶屋さんに行きたいです。

*1 2015/11/06 妖夢ちゃんごはん日記二年目257



2015/11/09
二年目260


 本日のメニュー
 ・鶏もも肉のうま辛煮
 ・ほうれん草ピリ辛炒め
 ・とうふのこしょう焼き
 ・とろとろたまごスープ

「ねえY子さん、ごうもん?」
「いえ幽々子様。これはですね。私の幸せなんです」
「どういうことかしら」
「幽々子様、私は料理を作ることが仕事です」
「天職だと思うわ」
「ありがとうございます。なので、それを久しぶりに実感したいと思いました」
「うん」
「こうやって料理を出して、みんなが汗をかいてはふはふやってくれるのが私の幸せなんです」
「……主人を使うなんていやな従者ねえ」

 辛い料理にとろとろスープ。
 これはごうもんです。
 口が熱すぎます。

「じゃあみんなはふはふして下さい」
「……はい」
「……ありがとうございますカセさん」
「……私のもっと氷入れて」

 Y子さん以外、私達三人は氷入りのお水を用意して
 一斉に食らいつきました!
 



 口の中を火傷しました。
 食らいつきすぎました。
 でも冬の醍醐味です。最高でした。




2015/11/10
二年目261


「あれ」

 里の手芸屋さんに行くと幽香さんを見かけました。
 なにやら選んでいたので、並んで商品を見定めました。

「……ひもですか」
「チョーカーを編もうと思ってね」

 幽香さんは結構おしゃれです。

 本日のメニュー
 ・肉豆腐定食
 ~ごはん
  肉豆腐
  昆布煮
  ささみとオクラあえ
  黒豆

 ということで定食屋さんに一緒に行きました。
 いつも今泉さんなどと来るこの定食屋さんは
 幽香さんのお花が飾ってあるので幽香さんもよく来るようです。
 
「今年は花を育てなかったのね」
「はい、少し忙しかったもので。ですが先日幽々子様が部屋で育てられる鉢植えが欲しいと言っていました」
「ふうんそう」

 幽香さんはホットコーヒーを飲みながら髪をくるくるとし始めました。
 興味が無いのでしょうか。

 と思っていたらついさっき幽々子様宛に手紙が届いたようです。
 何色のどんな花がいいか、と質問が書いてあったようです。
 やっぱり幽香さんは親切です。
 幽々子様がどんなリクエストをするかわからないですが、私も楽しみです。
 花はいいものですから。

 


2015/11/11
二年目262


 雨が降ったので晩ごはんはコロッケになりました。

 本日のメニュー
 ・牛肉コロッケ
 ・かぼちゃコロッケ
 ・山盛りキャベツ
 ・焼き油揚げのねぎあえ

「Y子さん、そのこころは?」
「明日はカラッと晴れれば良いなあと思って」

 Y子さんジョークでした。
 ジョークでもなんでもコロッケが食べられるので良かったです。
 さくっとカラッと最高のコロッケです。

「妖夢、どう美味しいの?」
「それはもうさくさくで塩こしょうがきいていますしごはんとの相性も抜群です」
「……面白く無いわねえ」

 なぜか不満そうでした。
 幽々子様はぜいたくです。

「じゃあ幽々子様、どういえば正解なんですか」
「おいもさんのいいところを使ってるわねY子さん」
「ありがとうございます」
「えーっ!」

 なぜそれが正解なのかわかりません。
 もう寝ます。悩みながら寝ます。




2015/11/12
二年目263


 寒くなったら辛いものが美味しくなります。
 中から温めるのがY子さんのモットーです。

 本日のメニュー
 ・激辛チーズチヂミ
 ・からあげ
 ・ゆでセロリ

 激辛なのにチーズなのでまろやかなのでもう私は困ります。
 汗でびしょびしょになります。
 修行場で一人、びしょびしょの私です。
 冷たい風がひんやりと気持ち良いです。
 
「こういう日は違う修行をしたくなりますね」

 でも良い修行が思いつかなかったので
 白玉楼に戻って幽々子様とWiiFitユーをやりました。
 寝ながらやるコブラのポーズはなかなかつらいです。
 幽々子様があごをこちょこちょしてくると更に辛いです。
 今日は激しい修行になりました。



2015/11/13
二年目264


 最強のぜいたくをしました。

 本日のメニュー
 ・まぐろのお寿司
 ・さけのお寿司
 ・たこのお寿司
 ・玉子焼き(甘いやつ)

「なんですか幽々子様宴会じゃないですよどういうことですか!」
「紫よ!」
「紫様あ!」

 紫様と今度会ったらお礼をする必要があります。
 菓子折りを渡さなきゃいけません。

「まぐろ美味しいですなんでこんなお寿司は美味しいのでしょう」
「めでたくない時に食べるお寿司は格別ね」
「カセさん、交換」
「うん」

 Y子さんはたこを、カセさんはさけを差し出していました。
 等価交換なのかは本人次第です。
 ということで。

「幽々子様、私はさけが食べたいですまぐろと交換どうですか!」
「却下ね」

 今宵の交換は上手くいきませんでした。
 でもお寿司を食べられて良かったです。
 もう死んでもいいです。

 ……さすがにうそです。


2015/11/14
二年目265


 人里に行きました。
 外に出て分かりましたがもうすっかり冬の気候です。
 あったかくつ下を履いてきて良かったです。

 本日のおやつ
 ・三色団子

 おそらく外で食べるのは最後だと思いますので
 三色団子と熱い緑茶を持ってお団子屋さんの前の長椅子で食べることにしました。

 緑茶のおかげでだいぶん温まりましたが、やはり冬です。
 食べる手を止めると体がぶるると震えてきます。

「おや」
「あ、先生」

 慧音先生がやってきました。
 きっと同じことを考えていたのでしょう。
 
「……」
「どうしたんですか、先生」
「ひょっとして、私は早すぎましたかね」
「……なるほど」

 先生は大福でした。
 雪見大福にはちょっと早いです。
 おちゃめな先生と冬の訪れを楽しんだ一日でした。




2015/11/15
二年目266


 本日のメニュー
 ・豚の角煮丼 ほうれん草煮添え

「うひょう!」

 角煮丼です!
 Y子さんの角煮はからしがふんだんに添えられていて
 ぴりりと効いて最高です。
 
「更に加えてほうれん草も豚の甘みが加わって最高です!」

 誰もいない修行場に私の声が響きます。

「これで豚の角煮をかっこみたれの染みたごはんをかきこみます! うおお!」

 私は叫びました!
 最高に美味しい角煮丼の食べ方です!
 最高です!
 



 ただ、虚しさがありました。
 一人でごはんは少しさみしいです。






2015/11/16
二年目267


「二度漬けは厳禁です」
「はい」
「はい」
「はい」

 ごはんの時はY子さんがルールなので幽々子様も例に漏れず
 みんなY子さんに従います。
 
 本日のメニュー
 ・串かつ(豚肉、にんにく、玉ねぎ、ピーマン)
 ・チンゲンサイ炒め

 串かつです。
 こいつはまたごついのが出てきました。
 ソースはやはり女の子の味です。
 
「Y子さん」

 幽々子様が手を上げました。

「なんでしょう幽々子様」
「串かつちょっとかじったけどもっかいソースに付けたいんですが」
「駄目です」
「……はい」

 幽々子様にも厳しいです。

「Y子さん」
「なんですかカセさん」
「マヨネーズつけてもいいですか」
「駄目です」
「……はい」

 カセさんにも厳しいです。

「Y子さん」
「駄目」
「……はい」

 私にも厳しいです。
 でも理不尽です。
 串かつは怖いです。



2015/11/17
二年目268

 今泉さんとごはんをしました。
 今回はせっちゃんさんは居ませんでした。

 本日のメニュー
 ・味噌ラーメン
 ・ギョウザ(はんぶんこ)

「ずぞぞぞぞん」
「ずぞぞぞぞん」

 今泉さんとラーメンをすすりました。
 やはりバターの浮いているラーメンは最高です。
 今泉さんは焼豚を追加していました。
 流石にお肉好きです。

「今泉さん」
「はふはふなにー?」
「髪の毛が入っています」
「ひいキューティクルが!」

 今泉さんは髪の毛もすすっていました。
 長い髪の毛を持ったことがないのでわかりませんが
 髪の毛は美味しいのでしょうか。

 家に帰った時に聞いてみました。

「Y子さんは髪の毛食べないですよね。髪長いのに」
「……自分の髪の毛を食べる妖怪でもいるの?」

 なにか勘違いしていました。
 髪の毛の謎です。




2015/11/18
二年目269


 朝ごはんは一日のエネルギーの源です。
 だから朝はしっかりと取らないといけないのです。
 昨日の夜の話です。

「あ、そういえば明日美鈴さんのところへ行ってきます」
「ふうん、ねえ妖夢、最近の勝率は?」
「……あまり良くないです」
「そ」
「……頑張ります」

 その一言がY子さんに聞こえていたようです。

 本日のメニュー
 ・カレー(目玉焼きのせ)
 ・なすのみそ汁

「あ、朝カレーですね!」
「妖夢ちゃん、今日は頑張ってね。お弁当もカツカレーにしたから」
「……Y子さん! 私はがんばります!」

「朝から熱血してるわねえ」

 結果はすこぶる良かったです。
 六勝四敗、勝ち越しです。
 これもカレーのおかげです。

「幽々子様、勝ちました!」
「何のこと?」

 幽々子様はすっかり忘れていましたけど
 嬉しいです。この嬉しさを胸に明日も勝ちにいきます。
 これから何かあるときは朝カレーにしてもらうことにします。
 ただカレーが食べたいだけというのは内緒です。



2015/11/19
二年目270


「妖夢……」

 幽々子様が真剣な表情で近づいてきました。
 眉毛を整えている時だったので変な顔を突っ込まれやしないかと
 思いましたがその評定は変わりませんでした。

 本日のおやつ
 ・肉じゃがコロッケ
 
「ほくほくですね幽々子様」
「うん……」
「牛乳ともあいますね」
「うん……」
「ソースとの相性も最高です」
「そうね……」

 幽々子様はずっとうつむいていました。
 これは一大事です。
 我が白玉楼の主がこんなのではいけません!

「幽々子様、いけませんよ! なんで落ち込んでるんですか!」
「……」
「私になんでも言って下さい!」
「……妖夢ずっと今日鼻毛出てるのよ。女の子なのに」

 死のうと思いました。
 さがさないで下さい。




2015/11/20
二年目271


 本日のメニュー
 ・トースト
 ・ハムエッグ
 ・トマトサラダ

「朝ごパンですね」
「はいY子さん私の勝ち」
「むう、流石です」
「?」

 聞くに、私が「朝ごパン」というか賭けていたようです。

「人の行動で遊ばないで下さい!」
「だって妖夢面白いし。ね、Y子さん」
「そうですね」
「全く、ごちそうさまです」
「あ、ほら妖夢が動くわよ」
「幽々子様!」

 失礼です。
 そしてお昼ごはんです。

「うどんランチですね」
「あ、やっぱり言った」
「幽々子様、当ててきますね」

 やっぱりやっていました。
 大人なので無視することにしました。
 幽々子様はお子様です。悔しくないです。泣いていないです。


2015/11/21
二年目272

 本日のおやつ
 ・芋ようかん

「幽々子様、おやつ持ってきましたよ。
 ところでさっき誰か来てませんでしたか?」
「ええ、せっかくのお客さんなのに何してのよ妖夢」
「す、すみません。ちょっとカセさんのお手伝いを」
「ならいいわ。見て」
「あ、なんですかこれ!」

 幽々子様の部屋に植物が置いてありました。
 きっとこの前注文していたのが届いたのでしょう。*1

「これなんて言うんですか?」
「ガジュマルっていうのよ」
「え、オスなんですか?」
「人の名前みたいよね」
「だけど普通じゃつまらないから名前を付けましょう。妖夢、どう?」
「ガジュマルっていう名前の植物なら可愛くまるちゃんとかどうでしょう」
「よし、ガジュちゃんにしよっと」
「幽々子様、私に聞いて意味は」

 こうしてガジュちゃんは幽々子様の部屋の住人になりました。
 
「ガジュちゃんは芋ようかん食べますかね」
「妖夢は世話しなくていいからね」

 なんかひどいです。



*1 2015/11/10 妖夢ちゃんごはん日記261


2015/11/22
二年目273


 本日のおやつ
 ・シリアル
 
「あ、ついに」
「ついにですね幽々子様」

 シリアルはとても美味しいのですが
 朝ごはんで出ても足りないという欠点があります。*1*2

「ついにおやつになりましたね」
「美味しいけど朝はごはんがいいからね」

 シリアルをさくさくとやりながら気付きました。
 
「あれ、Y子さんフルーツが入っていますよ」
「うん、なんか聞いたんだけど干しぶどうとかそういうの入れるとお通じに良いって」
「私はいっぱい食べます」
「なんの妖夢、私もよ」

 女の敵を解消してくれるすごいやつだったようです。
 でもお腹にたまらないのでやっぱり朝ごはんには駄目です。
 そこは認めません。

*1 2014/07/24 妖夢ちゃんごはん日記152
*2 2015/02/12 妖夢ちゃんごはん日記357








2015/11/23
二年目274


 本日のメニュー
 ・おろし焼きなす
 ・揚げ出しなす
 ・冷奴

「わあ!」
「幽々子様、秋なすです!」

 嫁に食わせないやつです。
 
「幽々子様、嫁には食わせちゃいけませんよ」
「安心して妖夢」
「はい」
「うちには独身女しかいないわ」

 食卓には冷たい空気が流れました。

「まあ私はもてるけどね」
「うん、私も。女子力高いし」
「私も。家事得意だし」

 上から幽々子様、Y子さん、カセさんです。
 必死です。
 大人は必死です。
 可哀想なのでナスを三人に分けてあげました。
 そしたら三人に叩かれました。
 面倒くさい大人たちです。




2015/11/24
二年目275


 本日のメニュー
 ・カルボナーラ
 ・冷やしトマト

「幽々子様、このトマトをカルボナーラに入れて混ぜたら何か見えてきませんか?」
「何も見えて来ないわいただきます」

 冷たかったです。
 トマトくらい冷たかったです。
 少しふざけただけなのに。

「幽々子様、妖夢ちゃんがぶうたれてます」
「あらまあ妖夢はまったく」

 気づかれました。

「妖夢、妖夢」

 幽々子様がくすくす話しかけてきました。
 こういう時はだいたい恐ろしいです。

「カルボナーラ食べて」
「は、はい。もぐもぐ」
「もっと頬張って」
「は、はい。あむ」
「最高ですって言ってみて」
「ちゃいぽーへす」

 なぜか凄く笑われました。
 意味がわかりません。
 Y子さんや幽々子様はたまによくわかりません。



2015/11/25
二年目276


「妖夢ちゃんは今日の晩ごはん喜ぶかも」
「ほんとですかY子さん!」

 わくわくを胸に生きた一日でした。
 半分だけですけど。

 本日のメニュー
 ・にんにく牛丼
 ・チンゲンサイ炒め

「わあ牛丼!」

 なんともヘビィな晩ごはんでした!
 にんにくの匂いがなんとも食欲をそそります!

「Y子さんは最高ですもぬもぬ」
「……」

 幽々子様が黙っていました。
 これは水をさされるやつです。
 
「な、なんですか」
「牛丼を楽しみにする年頃の乙女ねえ」
「わ、わるいんですか!」
「いいけど。くふふ」
「何か意味深ですね」
「ねえカセさん、私が若い頃はもっと花のような乙女でね。
 あ、今も若いけど」

 幽々子様は意味深に語っていました。
 カセさんが困っているのでやめてあげて下さい。
 




2015/11/26
二年目277


「今日のおやつですよ」

 幽々子様とこたつ議論をしているとおやつの時間になっていました。
 ふうと一汗かいて机を見ると
 なんとも珍妙なものが置いてありました。

 本日のおやつ
 ・よりより

「な、なんですかこれは」
「よりよりよ」
「幽々子様、いまY子さんなんて言いました?」
「わからないから逆から言ってもらいましょう。
 Y子さん、逆から言って」
「よりよりよ」

 上から読んでも下から読んでも同じでした。
 なぞの食べ物よりよりです。

「ビスケットですか? クッキーですか」
「ねえ妖夢、これで釘打てそう」
「本当だかちかちですね!」
「妖夢早く食べてみてよ」
「なんで幽々子様はいつも謎のものが出ると私に食べさせるんですか」
「はやくはやく」

 よりよりは形はビスケットの素材を棒にしてそれをよりよりしたみたいな形をしています。
 一口かじってみました。

「か、かひゃいです」
「私も食べよっと」
「硬いです…… あんまり味がないですね」
「んーなんか味気ないおやつねえ」

 幽々子様とざくざくこりこりやっているとあることに気付きました。

「幽々子様」
「ええ妖夢、貴方も気付いたのね」
「あんまり味がしない割にやめられないとまらないです」
「更に噛みしめていくうちにほのかに甘さも見えてくるわね」
「なんですかこのおやつ」
「よりよりよ」
「逆から読んでも?」
「よりよりよ」

 非常に楽しいおやつタイムでした。
 Y子さんは私達のやりとりを見てずっと笑っていました。
 なんか照れますね。



2015/11/27
二年目278


 本日のおやつ
 ・板チョコ

 板チョコをぱりぱりとやって居る時です。
 今日はY子さんが面倒くさい日なんだなあと話し合って居る時です。

「それで今泉さんという方がとてもキューティクルで……」
「ふんふん」
「……あ、あ」
「どうしたの妖夢」
「歯が、歯がかけました!」
「ええ……」

 歯がかけてしまいました。
 冷たいチョコレートは凶器です。
 
「ゆ、幽々子様、どうすればいいんですか」
「落ち着きなさい。かけたのが小さければ修復可能よ」
「そ、そうなんですか」
「あ、これは刀の刃がかけた時の対処法ね。嫌だ私ったら」

 少しいらっとしました。
 ですが何も言いませんでした。
 結局明日歯医者に行くことにしました。
 役に立たない主人です。

 ……冗談です。




2015/11/28
二年目279


「すみません」
「ん、あれどうしたの」
「今日は患者なんだけど」

 永遠亭に来ました。
 昨日歯がかけたのです。

「あーんして」
「あーん」
「あ、これね。まあこれだけなら気にする必要ないわよ。
 ちょっと丸く削っておくわね。あんまり舌で触らないように」
「ひゃい」
「あと触診している私の指を舐めないように」
「ひゃい」

 永琳さんの指はなにか手袋みたいなのをしていてゴムの味がしました。

 本日のおやつ
 ・メロンソーダ

「鈴仙は毎日こういうものを飲んでいるの。ぜいたくね」
「毎日じゃないよ。というか治療後にこんなの飲んでいいの」
「聞いてないのでわからない」

 メロンソーダはこの前紫様と飲んだきりです。*1
 しゅわしゅわで美味しいです。
 
「ねえ妖夢、この後弾幕ごっこしようよ」
「寒いんで嫌です」
「みかんが商品ね。ほら、里から貰ってきたのよ」
「どんとこいです」

 三勝二敗でした。
 よってみかんは私のものでした。
 でもあんまり甘くありませんでした。
 みかんがおいしくなるのはもうすぐです。
 寒くなるのは嫌だけど、はやく冬が来て欲しいです。

*1 2015/07/26 妖夢ちゃんごはん日記155






2015/11/29
二年目280


 幽々子様の元へおやつを届けに行きました。
 幽々子様のお仕事が忙しい時期です。
 Y子さんの特製チョコウエハースを食べれば疲れも吹っ飛びます。

「うひいガジュちゃん疲れたーなでなで」

 お取り込み中でした。

 本日のおやつ
 ・チョコウエハース

「幽々子様、ガジュちゃんどうですか」
「ぼちぼちでんな」

 ぼちぼちだそうです。
 お仕事が忙しいとよくわからなくなる幽々子様です。

「あんまり急に大きくはならないみたいよ」
「そうなんですか」

 幽々子様はカジュちゃんを撫でながらウエハースをさくさくやっていました。
 羨ましいです。私も植物を育てたいです。

「ゆ」
「だめよ枯らすもの」

 読まれていました。
 ペットも駄目、植物も駄目です。
 
「ゆ」
「いつかね」

 いつか良いそうです。
 幽々子様は先読みしすぎです。

*1 2015/11/21 妖夢ちゃんごはん日記272


2015/11/30
二年目281


 Y子さんのお使いを済ませた後
 人里をぷらぷらしました。
 異変が起きている訳ではないので辻切りもしないでいいのでぽけっと歩いていました。

「いたっ」
「あ、すみません」

 ということで思わず前から来た何かにぶつかってしまいました。

「ちょっと何するのよ!」
「あ、すみません」
「痛いじゃないの!」

 謝ってるのに怒ってきたのですごく切りたくなりました。

 本日のおやつ
 ・抹茶まんじゅう

「なにこれ美味しい」

 切りたくなりましたが可愛い人形だったので
 おやつを与えました。
 小さな手でおまんじゅうを食べるお人形は可愛いです。

「もっと食べていんですよ」
「たまには出歩いてみるもんね。おやつ食べられるなんて珍しくラッキーよ!」
「可愛い。うちで飼おうかな。ちょっと待っててね」

 お小遣いをはたいて首輪を買いに行きました。
 なんとか買って甘味屋に戻るとそこにあの人形は居ませんでした。
 なんという無駄遣いでしょう。

「……毒人形じゃないのそれ」

 幽々子様に特徴を言ったら毒人形だということがわかりました。
 危ないところでした。
 でもなんか前に会ったような気がします。
 もうどうでもいいです。
 お金がもったいないですが、きっといつか使えるといいです。
 楽しみです。